パーテーションは空間を間仕切りするためのものですが、素材の持つ特性を活かせば、別の効果を付加することも可能です。
たとえば、執務室の壁に防音効果のあるパーテーションを用いれば、仕事に集中できる環境を作ることができます。
会話の内容を外に聞かれたくない応接室や会議室の壁に用いればセキュリティー効果も期待できるでしょう。
この記事では、パーテーションの防音効果について解説します。
音は目に見えません。しかし、音の正体が物の振動によって起こる波であることは広く知られています。
そのため、効果的に防音するためには、波がどこをどのように進むのかということをしっかりつかんでおくことが大切です。
身のまわりにある音は、伝わり方によって「空気伝播音」と「固体伝播音」の2種類に分けられます。
「空気伝播音」とは文字通り空気を振動させて伝わる音のことです。
人の話し声や楽器が奏でる音などが空気伝播音に当たります。
空気伝播音をシャットアウトするためには、音を伝える役割をする空気を無くしてしまうのがもっとも効果的です。
しかし、人が仕事をするオフィス内の空気を無くすというのは現実的ではありません。
パーテーションの内部を工夫することで空気伝播音が入り込んだり漏れ出したりすることを防ぎます。
それに対して、「固体伝播音」とは、壁や床など固体を振動させることによって伝わる音のことです。
階段を上り下りする音や、扉をノックする音などが固体伝播音に当たります。
固体は種類ごとに振動の仕方が変わるので、固体伝播音を防音するためには、パーテーションにどのような素材を使うかがポイントになります。
空気伝播音は空気の中を波紋のように広がり、壁などにぶつかると反射するのが特徴です。
しかし、壁が音を通しやすい素材できていると、壁の中を固体伝播音になって伝わり、再び空気に触れたところで空気伝播音になり外に漏れ出します。
そのため、オフィス内の防音を考えるときは壁にぶつかって反射する音や壁を通り抜けて外に漏れ出す音と共に、壁の中を通る音についても考えなければなりません。
音が外部に伝わらないようにするための防音は、「遮音」と「吸音」の2種類の選択肢があります。
遮音は透過する音を減らし、ほとんどの音を壁面で跳ね返す方法です。
反響音が気になるところでは使えませんが、内部の音を外に漏らさないことを重要視する会議室や応接室などの防音には適しています。
それに対して、吸音は壁材が音を吸収し、音の透過も反射も抑える方法です。
反響を抑えながら、外に音が漏れ出るのを防ぎたい場所で用いるのに適しています。
吸音はグラスウールなど音を通しにくい繊維系素材を用いて、音のエネルギーを熱エネルギーに変換する方法です。
一方、遮音は多くの場合、パーテーションの表面に遮音シートを貼って対応します。
オフィスで防音を行う際はどの程度の防音効果を求めるかということと同時に、パーテーションに遮音効果を求めるか、吸音効果を求めるかをしっかり考えることが大事です。
パーテーションにはさまざまな素材が用いられており、素材によって防音効果に差があります。
ですから、パーテーションを用いてオフィスの防音をする際は、どの程度の防音効果を求めるのか、最初にはっきりさせることが重要です。
オフィスで壁として用いるパーテーションは、大きく分けるとアルミパーテーションとスチールパーテーションの2種類に分かれます。
アルミパーテーションはアルミ製の柱やフレームを用いたパーテーションです。
比較的値段が安く、パネルの素材や組み合わせの種類が多い点がメリットですが、パネル自体の厚みがスチールパーテーションと比べて薄いので防音性は劣ります。
一方、スチールパーテーションは、スチール製の骨組みを用いて、天井や床にしっかりと固定するのが特徴です。アルミパーテーションと比べるとパネルに厚みがあり、内部に吸音材を入れて防音性を高めることもできます。
しかし、オフィスでパーテーションが用いられるのは完全な防音を求める場合だけではありません。
たとえば、ブース型レイアウトでも、仕事に集中しやすい環境を作るためにパーテーションに防音効果を持たせることは可能です。適した高さを選んだうえで、置き型の吸音効果があるパーテーションを使用します。
一方、高い防音効果が求められる応接室にパーテーションを用いる場合は、床から天井までのパーテーションを使用するのが一般的です。
音を外に漏らさない壁としてパーテーションを用います。
オフィスをパーテーションで防音する場合、どの部屋も同じレベルの防音性能が必要なわけではありません。
場所ごとに適した防音レベルがあります。
高い防音効果が必要な場所とそれ以外の場所でパーテーションの素材を変えれば、予算を抑えることも可能です。
置き型の吸音・遮音タイプのパーテーションを選べば両面使えます。
固定せず置き型にすることで、レイアウトを自由に変えられるなど多くのメリットがありオフィス向きです。
もう少し高い防音効果が必要というのであればアルミの壁タイプを選ぶとよいでしょう。