オフィス移転の際には、移転前にも後にもやらなければならない手続きがたくさんあります。
消防の手続きなどは施工業者が代行してくれることもありますが、基本的には自社で手続きを行わなければなりません。
漏らさず手続きできるようにしておきましょう。
この記事では、オフィス移転に伴う手続きを、移転前と移転後に分け、提出先の機関ごとに紹介します。
目次
移転前に必要な手続きは以下の2つです。
手続きの数としては多くありませんが、万が一忘れてしまうと業務に支障が出ます。必ず手続きするようにしましょう。
郵便の転居届は、移転が決まった時点で出しておくようにします。
転居のために必要な書類は「郵便物届出変更届」だけです。
旧住所を管轄する郵便局に提出するだけで完了します。
電話架設申し込みも移転が決まったらすぐにとれる手続きです。
ギリギリまで手続きせずにいると忘れてしまいがちなので、早めに手続きしましょう。
既契約を移設する場合も、新規申し込みする場合も、電話の撤去を依頼するときも必ず連絡が必要です。
116番に電話して、オフィスを移転する旨を伝えれば完了です。
オフィス移転に伴う手続きの多くは、移転後に行うものです。
移転後何日までという決まりがあるものや、なくてもできるだけ速やかに提出しなければならない書類がたくさんあります。
同じ時期に固まっているので、忘れずに行えるようにチェックリストを作っておきましょう。
提出先ごとに分けると次のようになります。
移転後の手続きの中でも移転後5日以内に行わなければいけないので遅れないよう気をつけましょう。
住所を変更する場合と名称を提出する場合では、それぞれ「適用事業所所在地・名称変更(訂正)届」を1部ずつ提出します。
届け出先は旧住所を管轄する社会保険事務所です。
事業主の氏名や住所に変更がある場合や事業所の名称や所在地、事業の種類や概要などが変わったときに提出する必要があります。
必要書類は「労働保険名称・所在地等変更届」の届出書のみです。
新しい所轄監督署に提出しますが、県外へ移転した場合は、旧所轄監督署に廃止届を提出したうえで、新所轄監督署へは成立届を提出しなければなりません。
労働基準法の適用事業となったときに手続きが必要になります。
手続きに必要な書類は「労働基準法に関する適用事業報告」だけです。
新しい所轄監督署へ新規の報告として提出します。
労働安全衛生法に基づく報告で、職場に安全管理者を置き、労働者の安全と健康に配慮した安全な職場環境を維持していることを報告するものです。
必要書類は免許証の写しで、新規の報告書として、新しい所轄監督署に提出します。
移転後保険関係が成立した日の翌日から10日以内に手続きをとるように決められています。
基本的に1人でも労働者を雇ったときには提出しなければならないものです。
事務所を移転したときには、新しい所轄監督署に提出します。
ただし、県外へ移転した場合は、廃止届を旧所轄監督署に、成立届を新所轄監督署へ提出する決まりです。
防火対象物の防火管理を行うために、一定の資格を有した人を選んで登録するものです。
必要書類は防火管理者選任届で、同じものを2部提出します。
届け出先は新しい所轄消防署の予防課です。
一般的に車庫証明と呼ばれるもので、自動車の保管場所を証明するための書類です。
新しい所轄警察署に対して提出します。
契約している銀行、クレジット会社ごとに手続きが必要です。
金融機関ごとに住所変更の方法が異なるので、電話などで事前に方法や必要書類の確認をします。
窓口で手続きを行う場合には、取引印鑑や本人確認書類が必要です。
事業主の氏名や住所、事業所の名称や所在地、事業の種類や概要に変更があったら、その翌日から10日以内に提出しなければなりません。
適用事業所台帳、変更事実が確認できる書類、労働保険名称の写し、所在地等変更届の写しと多くの書類提出が必要です。
変更事実が確認できる書類とは登記簿謄本のコピーなどを指します。
書類の提出先は新住所の管轄公共職業安定所です。
本店移転の場合は、所轄の法務局に対して、移転後2週間以内に変更内容を登録しなければなりません。
同一の管区内に移転した場合と、管轄区域外に移転した場合とでは提出書類が異なります。
提出書類は以下3点です。
これらに登録免許税3万円を添えて、会社本店の所在地を管轄する法務局に提出します。
提出する書類は以下4点で、「本店移転登記申請書」のみ2部必要です。
書類の提出先は、旧所在地を管轄する法務局と新所在地を管轄する法務局の2カ所ですが、旧所在地を管轄する法務局にまとめて提出することもできます。
書類提出時の登録免許税は、本店移転登録申請書が2部なので、それぞれに3万円ずつ添えなければなりません。
登記に必要な書類は、以下の3点です。
移転後2週間以内に本店所在地で登記したうえで、3週間以内に支店の所在地でも登記する必要があります。
手続きを代理人が行う場合は、委任状も必要になります。
提出先は、支店が本店と同じ管轄にあり、その管轄内で移転した場合には本店の所在地を管轄する法務局です。
それ以外のケースは、本店所在地を管轄する法務局のほかに、支店の新旧所在地を管轄する法務局への提出が必要になります。
そのため、支店と本店が同じ管轄区内のときには登録免許税が3万円ですが、それ以外のケースでは4万8600円になることもあります。
移転後、登記事項証明書の手続きが終わったら提出する必要があります。
法人税の管理を行う税務局に対して、住所が変わったことを報告しておかなければなりません。
必要書類は移転手続完了後の登記簿謄本で、提出先は新所在地、旧所在地の所轄税務署です。
移転後1カ月以内には提出もしておくようにします。
必要書類は基本的に登記薄謄本ですが、登記する事項によっては、変更の事実を証明できる書類の写しでも受け付けてもらえます。
提出先はこちらも同様に新所在地、旧所在地の所轄税務署です。
このように、転居後は手続きしなければならいことが多く、提出先も分かれています。二度手間にならないように、同じ場所への提出はできるだけまとめて行えるようにしましょう。
オフィスを移転すると、短期間に数多くの手続きが必要です。提出先が多岐に渡り、提出書類の多い手続きや、登録税を添えなければならない手続きもあります。
効率よく手続きを済ませられるように、順番も踏まえたチェックリストを作っておくようにしましょう。
そうすれば、先に終わらせておかなければならない手続きが後まで残ってしまうことがなくなります。