オフィスレイアウトは、ただ空きスペースに机や椅子を配置するような単純なものではありません。
同じスペースでもレイアウト次第でまったく異なる印象になり、快適さも違います。オフィスのレイアウトを考えることは頻繁に行うものではないので、しっかり考えて行いましょう。
この記事では、オフィスのレイアウト設計に役立つ基本的なポイントを4つ紹介します。
目次
オフィスレイアウトを検討するにあたって、基本的なレイアウトパターンをいくつか知っておきましょう。
オフィスの場合、壁やパーテーションの配置と机や椅子の配列でレイアウトが変わります。
基本的なレイアウトパターンは以下の3タイプです
もっとも基本的なのが、オープンタイプです。
執務スペースを確保し、1人1台の机と椅子を配置していくタイプです。基本的に執務スペースはオープンになっている事が多く、どこからでも全体を見渡すことができ、風通しのよさが感じられます。
部門や部署ごとに机を島状に並べ、低いパーテーションなどで区切ることはあっても、他の部署へも自由に出入りできるオフィスレイアウトです。
しかし、一目で全体が見えてしまうため、上手く配置と導線を考えられないと、人数の多い企業ではごちゃついた印象にもなります。
また、机と椅子の並び方が全体を通して均一になりがちなので、少々硬い印象を与えることにもなるでしょう。
ユニークなスタイルを好むなら、オフィスランドスケープというレイアウトパターンがあります。
新しいスタイルで、自分の席を固定しないフリーアドレスのオフィスに向いたタイプです。パーテーションやオフィス家具によって部署や部門を分けることもできます。
しかし、仕事場所を固定せず、自由に座れるように机や椅子をレイアウトになっているのが特徴です。
チームごとに集まって島を作ることも、単独で作業することもできます。座る場所が決まっていないので、書類を広げたままにしたり、私物を置いたままにしたりすることは防げるでしょう。
その代りに収納スペースとしてパーソナルロッカーを用意する事が基本です。その為、スペースにはある程度の余裕が必要になります。
社員数と借りるオフィスの広さを考えながらレイアウトを組む必要があるでしょう。
オープンタイプはどちらかというと横長のスペースを島状に区切って使う形ですが、オフィスランドスケープは、やや正方形に近いスペースをレイアウトするのに向いています。
円を描くように机と椅子を配置していく形なので、どの席からも周囲を見渡しやすくなっているのが特徴です。
完全に個室に分けたいときにはコリドールタイプを選ぶとよいでしょう。
大学の研究室や企業の役員室などの配置がこのタイプです。
オフィスのスペースをパーテーションで細かく区切ってしまいます。
秘密の保持が必要な部署が多いオフィス向きのレイアウトです。
限られたスペースに机や椅子をいくつ配置できるかを知るためには、デスク周りの基本的な寸法についても知っておいた方がよいでしょう。
机自体が専有するスペースは基本的に一番多い大きさが縦700mm×幅1200mmで、そこに人が着席して作業するにはさらに約400mmのスペースが必要です。
また、机と机の間を人が1人通るだけなら800mmで済みますが、スムーズにすれ違うためには1350mm以上のスペースが必要になります。
オフィスレイアウトをするうえで、適正なスペースを確保するのであれば1人当たりの広さは最低でも2坪は欲しいところです。
理想的な空間にするには、壁から机までの距離を1200mm、机と机の間を1600mmは確保したいところですが、オフィスの広さによっては多少狭める必要が出てくるでしょう。
執務スペースをレイアウトするために、基礎的な机と椅子の並べ方も知っておきましょう。
もっとも一般的なのが対向式で、部署の机を向かい合わせに配置する基本的な島型配置です。顔の見える配置になるので、コミュニケーションの取りやすさが特徴といえます。
スペースを効率的に使えるうえに、人の数が増えたときも減ったときも、臨機応変に机の数を変えられる融通が利きやすい配置です。
座って作業するときは集中できるようにするために、机と机の間に背の低いパーテーションを入れるパターンもあります。
事務職や営業職に向いたレイアウトです。
それとは逆に、スペース内に背中合わせに座るレイアウトもあります。壁やパーテーションに向かって机を配置するタイプです。
1人で集中した作業を行う職種でよくみられる形です。
通路スペースが1本でよいため省スペースになり、作業のしやすさとコミュニケーションの取りやすさが両立します。
ただし、管理職にとっては全体の把握がしにくい配置で、管理職の席をどこに配置するかという点も難しいレイアウトです。
オフィス内を完全に個別スペースに分けてしまうブース型のレイアウトもあります。机の周りをパーテーションやパネルで囲ってしまうので、周囲の視線を感じずに集中して作業できる点が特徴です。
作業のほとんどを個人で行うような業種に向いています。また機密性の高いものを取り扱っている場合もブース型のレイアウトにする事が多いです。
パネルの高さや素材を工夫し、座っているときだけ作業に集中できるような形にすれば、適度にコミュニケーションを取ることも可能です。
出張や外出が多い部署などでは、フリーアドレス型のレイアウトを採るのも1つの方法です。
座る場所を固定しないスタイルなので、在席率が少ないオフィスの場合は、机と椅子の数を最低限だけ用意すれば済みます。
限られたスペースを効率よく使うことができ、部署の壁を越えたコミュニケーションも取りやすい配置です。
ただし、専用の机がなくなるので、個人専用の収納やノートパソコン用の無線LANなどを準備する必要があります。
レイアウトパターンについての詳細は「業務内容に適したオフィスレイアウトとは?レイアウトの見直しで業務効率アップ!」記事を御覧ください。
オフィスを構成する要素をゾーン分けして、全体のスペースにどのように配置するかなどを考える事を「ゾーニング」といいます。
オフィスレイアウトでは、スペースをどのように割り振るかというゾーニングも重要な課題です。
オフィスを構成するゾーンは大きく分けて次の3つです。
→受付、トイレなど
→各部署の執務室や倉庫、サーバールームなど
→応接室、喫煙室など
どのゾーンをオフィスのどこに置くかは、従業員、来客者それぞれの動線を考える必要があります。
また、各部署の関連性も考慮して、効率よく行き来できるようにすることも大事なポイントです。
ゾーニングは、来客者が実際に立ち入れるかどうかというだけでなく、部外者に見られてもよい場所かどうかという点も考えて配置するようにします。
快適なオフィスにするためには、従業員、来客者それぞれの動線を意識したゾーニングが欠かせません。
たとえば、来客が立ち入れるスペースは入口の近くにまとめて配置することが大事です。
もしも、入口と来客者が立ち入るスペースとの間に従業員のみが立ち入れるスペースを置いてしまった場合には、奥になったスペースは来客者が利用できないスペースになってしまいます。
また、トイレは来客者も使うとはいえ、オフィスで過ごす時間が長い従業員にとって、使いやすい位置に配置することが重要です。
トイレまでの動線が長すぎると、オフィスが快適に感じられなくなってしまいます。
トイレは実際の仕事には関係のないスペースですが、長時間オフィス内で過ごす従業員にとっては快適さにつながる大事なポイントになることを理解しましょう。
ゾーニングは単純なパズルのようにはいきません。家具の大きさ等によって配置したい場所に部屋を配置出来なかったりと、理想のレイアウトを諦めなければならない事もあります。
そのため、実際の動線を意識し、理想のレイアウトの中で一番優先順位が高いのはどんなポイントなのかを意識して配置をすることが重要になるのです。
小さなオフィスなら基本を押さえればオフィスレイアウトも比較的簡単です。
しかし、オフィスの規模が大きくなるほどゾーニングにもコツが必要になります。パーテーションを上手に活用して、広いスペースを細かく区切ってみましょう。
パーテーションなら設置後も取り外しや組み替えが可能です。導線を意識したゾーニングや机の配置にチャレンジしてみましょう。
レイアウト変更が必要だけれど時間が無いという場合や家具の購入予定がある場合は、思い切って業者に相談してみると良いレイアウトの提案をしてくれるかもしれません。